COLUMN ・ 2026-08-22

バーチャルオフィスおすすめ比較|SOHO賃貸で法人登記できないときの選び方

SOHO賃貸で法人登記につまずく理由と、バーチャルオフィスで解決する方法。主要4社の料金を公式情報どおりに比較し、月額だけで選ぶと失敗する理由も解説します。

SOHO可の賃貸物件を探していて、法人登記のところで話が止まった経験はないでしょうか。物件は気に入った、事務所利用も相談できそうだ、けれど「登記はちょっと」と言われて振り出しに戻る。SOHO賃貸を探す人がもっとも高い確率でぶつかるのがこの壁です。

先に結論をお伝えします。登記だけが目的なら、賃貸物件で承諾を取りにいくより、バーチャルオフィスを使うほうが早くて安く済みます。月額660円から始められ、貸主との交渉も要りません。この記事では、なぜSOHO賃貸だと登記でつまずくのかを法律と実務の両面から整理したうえで、主要4社の料金を公式情報どおりに並べ、月額だけを見ると失敗する理由と、バーチャルオフィスでは足りないケースまでお伝えします。

SOHO賃貸で法人登記につまずく理由

賃貸物件での登記は貸主の承諾が前提になる

結論から言えば、賃貸物件の住所を本店として登記すること自体は、法律で禁じられているわけではありません。問題になるのは賃貸借契約のほうです。多くの居住用賃貸では用途が「住居」に限定されており、事務所として使うこと、まして法人の本店を置くことは想定されていません。分譲マンションであれば管理規約が住居専用をうたっていることも珍しくありません。

つまり登記の可否は、法律ではなくその物件の貸主が承諾するかどうかで決まります。同じ建物でも部屋によって答えが変わることがあるのはこのためです。

募集情報には「登記可」というデータが存在しない

もうひとつ厄介なのが、探す側から見て事前に判別できないという点です。不動産の募集情報には、賃料・間取り・面積・築年といった項目は整備されていますが、法人登記の可否を示す項目そのものが用意されていません。ペット可や楽器可のような「条件」欄はあっても、登記はそこに含まれないのが実情です。

そのため「登記できる物件だけを絞り込む」という探し方が構造的にできません。気になる物件を見つけて、問い合わせて、貸主に確認してもらって、初めて答えが返ってくる。何件かこれを繰り返して疲れてしまう人が多いのは、探し方が悪いのではなく仕組みの問題です。

承諾が取れても手続きと費用は残る

運よく承諾が得られた場合でも、事務所利用を前提とした契約に切り替わることがあります。賃料に消費税が加算される、敷金が積み増しになる、火災保険が事業用になるといった変更です。実際の募集情報でも「SOHO利用の場合は敷金1ヶ月積み増し」といった条件が付されているものがあります。

登記のためだけにこれらを負担するのが妥当かどうかは、冷静に比べてみる価値があります。賃貸物件での事務所利用そのものについてはSOHO物件で法人登記はできる?条件・手続き・注意点で詳しく整理しています。

バーチャルオフィスで法人登記ができる法的な理由

本店の所在地は定款の絶対的記載事項

会社を設立するとき、定款には必ず書かなければならない事項があります。法務省は株式会社の定款について、絶対的記載事項として「目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、発起人の氏名又は名称及び住所」を挙げています(法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」)。合同会社でも同様に本店の所在地が絶対的記載事項とされています。

条文に「実体のあるオフィス」という要件はない

ここで押さえておきたいのは、本店の所在地について「実際に人が常駐していること」「専有スペースがあること」といった要件が定められているわけではないという点です。定めなければならないのは所在地であって、そこがどういう空間かは登記の要件になっていません。

バーチャルオフィスの住所で法人登記ができるのは、この構造によります。裏を返せば、賃貸物件で登記できないのは法律のせいではなく、あくまで貸主との契約の問題だということでもあります。

登記できることと、事業が回ることは別

ただし、登記ができることと、その住所で事業が問題なく回ることは別の話です。後述するとおり、業種によっては実体のある事務所を求められますし、金融機関の審査でどう見られるかも登記とは別の判断です。「登記は通る、その先は要確認」という理解が正確です。

主要バーチャルオフィスの料金を公式情報で比べる

4社の基本プラン

以下は各社の公式料金ページに記載されている内容を、2026年8月時点でまとめたものです。すべて税込表記です。

サービス月額法人登記郵便転送初期費用
GMOオフィスサポート(転送なし)660円不可なし入会金・保証料0円
GMOオフィスサポート(月1転送)1,650円月1回入会金・保証料0円
GMOオフィスサポート(週1転送)2,750円週1回入会金・保証料0円
DMMバーチャルオフィス(ミニマム)660円 ※年間一括7,920円週1回(制限あり)入会金5,500円
DMMバーチャルオフィス(ベーシック)2,530円 ※年間一括30,360円週1回入会金5,500円
レゾナンス(バーチャルオフィスコース)990円週1回または月1回入会金5,500円+デポジット1,000円〜
Karigo(ホワイトプラン)4,700円〜対応入会金5,500円〜

※ 料金・プラン内容は変更されることがあります。申し込み前に必ず各社の公式サイトで最新の条件をご確認ください。

月額だけで比べると失敗する

この表を見て最初に気づいてほしいのは、同じ「660円」でも中身がまったく違うということです。

GMOオフィスサポートの660円プランは法人登記ができません。登記を目的とするなら最低でも月1転送プランの1,650円になります。一方DMMバーチャルオフィスの660円は登記可能ですが、年間一括前払いが条件で、公式サイトには途中解約しても返金対象外である旨が記載されています。

「最安◯◯円」という数字だけを追いかけると、登記できないプランを選んでしまったり、一年分を先払いしていることに後から気づいたりします。登記が目的なら「登記可能な最安プランはいくらか」で比べてください。

初年度の総額で見る

入会金を含めた初年度の実額で並べ直すと、印象が変わります。

  • GMOオフィスサポート 月1転送:1,650円×12=19,800円(入会金0円)
  • DMMバーチャルオフィス ミニマム:7,920円+入会金5,500円=13,420円
  • レゾナンス バーチャルオフィスコース:990円×12+入会金5,500円+デポジット1,000円〜=18,380円〜

いずれも年間2万円前後です。賃貸物件で事務所利用の承諾を取り、敷金を1ヶ月積み増した場合の負担と比べれば、登記だけが目的であれば桁が違うことがわかります。SOHO賃貸そのものの初期費用はSOHO賃貸の初期費用はいくら?相場と節約術にまとめています。

選ぶときに見るべき5つの軸

1. 登記可否がプランによって変わる

前述のとおり、同じ会社でも安いプランは登記不可というケースがあります。サービス単位ではなくプラン単位で確認してください。

2. 郵便転送の頻度と実費

登記した住所には、税務署や年金事務所、取引先からの郵便が届きます。月1回転送だと、届いてから手元に来るまで最大で一ヶ月近く空くことになります。期限のある書類を扱う可能性があるなら、週1回以上を選ぶほうが安全です。

また転送そのものに実費がかかる場合があります。GMOオフィスサポートの公式ページには、150g以内は無料、150g超4kg以内は440円/通といった記載があります。月額の安さと転送実費はトレードオフになりがちだと考えておいてください。

3. その住所がどう使われているか

格安のバーチャルオフィスは、同じ住所を多数の事業者が共有しています。取引先が住所を検索したときに他社が大量に出てくる状態を、どう受け止めるかという問題です。BtoBで信用を重視するなら、共有数の少ないサービスや、実際に拠点がある事業者を選ぶ判断もあります。

4. 電話番号と来客対応

特定商取引法にもとづく表示や、許認可の申請では電話番号が必要になる場面があります。転送電話や電話代行をセットにできるかは、後から効いてくる要素です。レゾナンスの転送電話セットコース3,190円、電話秘書代行セットコース5,390円のように、上位プランで対応している構成が一般的です。

5. 解約するときに登記住所を変える費用がかかる

これが見落とされやすい点です。バーチャルオフィスを解約して住所を変えるということは、本店移転の登記が必要になるということです。登記には登録免許税がかかり、司法書士に依頼すればその報酬も加わります。

月額の差が数百円でも、途中で乗り換えれば移転登記のコストが発生します。安さだけで選んで一年で乗り換えるより、続けられる一社を選ぶほうが結果的に安く済むことがあります。

バーチャルオフィスでは足りないケース

実体のある事務所が求められる許認可

業種によっては、許認可の要件として実体のある事務所や営業所を備えることが求められます。宅地建物取引業、労働者派遣事業、有料職業紹介事業、古物商、建設業などが代表的です。これらを予定しているなら、バーチャルオフィスの住所では要件を満たせない可能性が高くなります。

要件は業種ごとに所管官庁が定めています。該当しそうな場合は、契約する前に所管官庁または申請予定の窓口に確認してください。登記が通ったから許認可も通る、とは限りません。

銀行口座の開設

法人口座の開設可否について、「バーチャルオフィスだから開設できない」と定めた法令はありません。ただし金融機関はそれぞれの基準で審査を行っており、事業の実体をどう確認するかは各行の判断です。事業内容が説明できる資料やウェブサイト、取引の実績を揃えておくことが現実的な対策になります。

作業場所や来客対応が必要な場合

バーチャルオフィスはあくまで住所を借りるサービスで、そこで働くことはできません。作業する場所が必要ならコワーキングスペースやレンタルオフィスとの併用、あるいは自宅兼事務所という選択になります。レンタルオフィスの居住利用についてはレンタルオフィスに住むのはNG?合法的に住めるオフィスの選択肢で整理しています。

賃貸SOHOとバーチャルオフィスの使い分け

ここまでを踏まえると、判断の軸はシンプルになります。

  • 登記と郵便の受け取りだけが必要:バーチャルオフィス。年間2万円前後で完結します
  • 働く場所も必要で、来客はほとんどない:SOHO可の賃貸物件。住居と兼ねられるぶん総額を抑えられます
  • 働く場所が必要で、登記もしたい:SOHO賃貸を借りて登記だけバーチャルオフィスに置く、という併用も実務上はよく取られます
  • 来客対応や許認可が必要:実体のある事務所。バーチャルオフィスでは要件を満たせません

三つ目の併用は、貸主との登記交渉を回避しつつ働く場所を確保できるため、個人事業主から法人化する段階で選ばれることが多い形です。なお個人事業主のままであれば、そもそも登記は不要です。開業届の住所については個人事業主の開業届に賃貸住所を書いて大丈夫?をご覧ください。

よくある質問

バーチャルオフィスの住所で法人登記をして、違法になりませんか?

登記そのものが違法になることはありません。定款の絶対的記載事項として定めるのは「本店の所在地」であり、そこに実体のあるオフィスを備えることは登記の要件になっていないためです。ただし業種によって許認可の要件を満たせない場合があるため、事業内容にあわせた確認は必要です。

個人事業主でもバーチャルオフィスを使う意味はありますか?

あります。個人事業主に登記の義務はありませんが、通信販売を行う場合は特定商取引法にもとづく表示で住所を掲示する必要があり、自宅住所を公開したくないという理由でバーチャルオフィスを使うケースが多くあります。なお納税地については、所得税法上の原則は住所地とされ、事業所の所在地を納税地とする特例も設けられています(国税庁「納税地の異動があった場合の手続」所法15、16)。

いちばん安いプランを選べばいいですか?

登記が目的なら、最安プランが登記に対応しているかを必ず確認してください。月額660円でも登記できないプランがあります。また年間一括前払いが条件で途中解約時に返金されない場合や、解約時に本店移転登記の費用が発生する点も含めて比較することをおすすめします。

まとめ

SOHO賃貸で法人登記につまずくのは、探し方の問題ではなく、登記の可否が貸主の承諾に委ねられていて事前に絞り込めないという構造の問題です。登記だけが目的であれば、年間2万円前後のバーチャルオフィスで解決できます。

選ぶときは月額の安さではなく、登記可能な最安プランはいくらか、郵便転送は間に合う頻度か、解約時に移転登記の費用がかかることを織り込んだかという三点で比べてください。そのうえで、働く場所が必要なら賃貸SOHOと併用する、許認可が絡むなら実体のある事務所を選ぶ、という順に切り分けていけば判断を誤りません。

FIND YOUR WORKSPACE

気になる施設は、コワークナビからそのまま見学予約できます。

コワーキングスペースを検索する